デザイン思考の企業研修はどう選ぶ?失敗しないための5つのポイント
はじめに
「デザイン思考を社内に導入したい」「イノベーション人材を育成したい」——そう考えて企業研修を検討する企業が増えています。
しかし、「デザイン思考 研修」で検索すると、実に多くのサービスが見つかります。2時間の入門セミナーから数ヶ月の長期プログラムまで、形式も内容もさまざまです。どの研修を選べばよいのか迷ってしまう方も多いのではないでしょうか。
この記事では、一般社団法人日本デザイン思考協会が、NTTドコモをはじめとする多くの企業への研修提供経験をもとに、デザイン思考の企業研修で失敗しないための5つの選定ポイントを解説します。
なぜ企業がデザイン思考研修を導入するのか
デザイン思考研修の選び方を解説する前に、なぜ今多くの企業がデザイン思考の導入を進めているのかを整理しましょう。
新規事業の創出
既存事業の延長だけでは成長が限界に達している企業にとって、ユーザーの潜在的なニーズを発見し、新たな事業機会を見出すデザイン思考のアプローチは強力なツールです。
組織文化の変革
「前例主義」「失敗を避ける文化」から脱却し、挑戦と試行錯誤を奨励するイノベーション文化を醸成するために、デザイン思考のマインドセットが求められています。
顧客体験(CX)の向上
製品やサービスの機能的な価値だけでなく、顧客が体験する全体のジャーニーを設計する力が競争優位につながる時代です。デザイン思考の「共感」のプロセスは、顧客理解を深める最も効果的なアプローチの一つです。
部門横断の共創
営業、開発、マーケティング、カスタマーサポートなど、異なる部門のメンバーがデザイン思考のプロセスを共有することで、サイロを超えた協業が促進されます。
失敗しない企業研修選び 5つのポイント
ポイント1:「体験学習型」であること
デザイン思考は座学だけでは身につきません。最も重要な選定基準は、実際に手を動かし、チームで対話し、プロトタイプを作る「体験型」のプログラムであるかどうかです。
講義中心の研修では、デザイン思考の概念は理解できても、実践する力は身につきません。優れた研修プログラムでは、参加者自身が共感インタビューを行い、課題を定義し、アイデアを発想し、プロトタイプを作成してテストするという一連のプロセスを実際に体験します。
選定のチェックポイントとして、研修全体の中で「講義」と「ワーク」の比率を確認してください。ワークの比率が7割以上であることが望ましいでしょう。
ポイント2:自社の課題に接続できること
汎用的なケーススタディだけで終わる研修と、自社の実際の課題をテーマにした研修では、参加者の学びの深さと実務への応用力に大きな差が生まれます。
理想的なのは、研修前に企業の課題やゴールをヒアリングし、カスタマイズされたプログラムを設計してくれるパートナーです。自社の事業課題や顧客課題を素材として使うことで、研修終了後にそのまま実務に活かせるアウトプットが得られます。
日本デザイン思考協会では、企業ごとの課題に合わせてカリキュラムをカスタマイズし、「研修のための研修」ではなく「実務に直結する研修」を設計しています。
ポイント3:研修後のフォローアップがあること
デザイン思考研修でよくある失敗は、「研修当日は盛り上がったが、翌週からは元の仕事のやり方に戻ってしまった」という形状記憶合金のパターンです。
一度の研修だけでデザイン思考が組織に定着することは稀です。研修後のフォローアップとして、以下のようなサポートがあるかどうかを確認しましょう。
- 研修後のアクションプラン策定と進捗確認
- 社内ファシリテーターの育成プログラム
- 定期的なフォローアップセッション
- 経営層への報告・説明支援
デザイン思考は一度学んで終わりではなく、継続的な実践と組織への浸透が重要です。長期的な伴走ができるパートナーを選ぶことが成功の鍵です。
ポイント4:ファシリテーターの実績と専門性
デザイン思考ワークショップの質は、ファシリテーターの力量に大きく左右されます。選定時には、以下のような点を確認してください。
- デザイン思考の理論的背景を体系的に学んだ経歴があるか(スタンフォード大学d.school, Royal College of Artなど)
- 企業研修の実施実績が豊富か
- 自社と近い業界や課題での支援経験があるか
- ファシリテーション中に参加者の気づきを引き出し、議論を深める力があるか
日本デザイン思考協会は、スタンフォード大学d.schoolで体系化されたメソッドに基づくプログラムを提供しており、シリコンバレー現地駐在メンバーとの連携を通じて、最新のデザイン思考の実践知を常にアップデートしています。
ポイント5:「アイデア出し」で終わらないこと
多くのデザイン思考ワークショップが「アイデア出し」のステップで終わってしまいます。付箋にアイデアを書き出して、投票して、「楽しかった」で終わり——これでは実務に活きません。
優れた研修プログラムでは、アイデアを具体的なプロトタイプに落とし込み、テストし、実行可能なアクションプランまで策定します。さらに、リーンキャンバスやビジネスモデルキャンバスなどのフレームワークと組み合わせることで、アイデアを実際の事業や施策に発展させるところまでサポートするのが理想です。
デザイン思考研修の種類と選び方
目的やレベルに応じて、適切な研修形式は異なります。
入門・体験コース(2〜3時間)
デザイン思考の基本概念とプロセスを短時間で体験するコースです。「まずデザイン思考を知りたい」「社内での導入可否を判断したい」という段階に最適です。全社員への啓蒙や、経営層への理解促進にも活用できます。
日本デザイン思考協会では、スタンフォード大学d.school流の2時間入門コースを無償で提供しています。
実践ワークショップ(1〜2日間)
共感からプロトタイプ・テストまでの全プロセスを、実際の課題を用いて実践的に体験するコースです。参加者がデザイン思考を「自分ごと」として実感でき、すぐに実務に応用できるスキルが身につきます。
チームビルディングや新規プロジェクトのキックオフとしても効果的です。
長期プログラム(数週間〜数ヶ月)
デザイン思考を組織に本格的に導入するための長期プログラムです。社内ファシリテーターの育成、実際の事業課題への適用、組織文化の変革まで、段階的かつ継続的に取り組みます。
デザイン思考にリーンスタートアップやビジネスモデルキャンバスなどの手法を組み合わせ、新規事業の立ち上げや社内起業家(イントラプレナー)の育成を目指す企業に適しています。
デザイン思考研修の導入事例
大手企業での活用
NTTドコモをはじめとする大手企業において、新規事業開発や社内起業家育成、組織変革のためのデザイン思考プログラムを提供してきました。企業規模や業界を問わず、実際のビジネス課題に即したプログラム設計により、研修直後から実務に活かせる成果を実現しています。
教育分野での展開
さいたま市教育委員会教育研究所との連携では、教職員6,000人を対象としたデザイン思考研修を実施。最終的には市内の全生徒10万人にデザイン思考を届けることを目指す、日本最大規模の公教育デザイン思考プログラムとなっています。
自治体との連携
高知県須崎市との「すさきデザイン」プロジェクトでは、デザイン思考を活用した地域課題の解決に取り組んでいます。
また京都府京丹後市では行政職員と教育委員会が共にデザイン思考のプロセスを体験し、住民目線でのまちづくりや教育の仕組みの創出を推進しています。
まとめ
デザイン思考の企業研修を選ぶ際の5つのポイントをまとめます。
- 体験型であること — ワーク比率7割以上が目安
- 自社の課題に接続できること — カスタマイズされたプログラム設計
- 研修後のフォローアップがあること — 一度で終わらない長期的な伴走
- ファシリテーターの実績と専門性 — 体系的な学びと豊富な実施経験
- 「アイデア出し」で終わらないこと — アクションプランや事業化まで支援
デザイン思考研修は、正しく選べば組織に大きな変革をもたらします。しかし、選び方を間違えると「楽しかったけど何も変わらなかった」という結果に終わりかねません。
自社の目的とフェーズに合った研修を選び、デザイン思考を組織の力に変えていきましょう。
一般社団法人日本デザイン思考協会では、2時間の無償入門コースから長期の企業変革プログラムまで、企業のニーズに合わせた研修を提供しています。まずはお気軽にお問い合わせください。

